この目録について
この目録は,2025年末までに発行された秋田県の蛾類に関する文献から引用したデータを基に作成したものです.
文献の見落としやデータ入力のミスなど,まだ不備が多々あろうかと思います.できるだけ元の文献にも当たって確認していただくことをお願いするとともに,不備などをご教示いただければ幸いです.
ミスや漏れを見つけられた方、改善点のご提案等は,梅津 (kazushi.umetsu [at] nifty.com) までご連絡ください。
文献
扱った文献は,学会誌,同好会誌,図鑑など単行本が主で,農林業関係の文献,高校生物部の部誌などはほぼ扱っていない.データを引用した文献,コメント中に出てくる文献については一覧を示した.
種やデータの取り扱いや表記など
データは,和名,学名,採集地と引用文献の順に記してある.
種の配列,和名,学名は,概ね「List-MJ 日本産蛾類総目録[version3]β (神保宇嗣, 2021)に依っているが,その後の変更などを踏まえて変えた箇所もある.
報告後に2種以上に分離された種は,和名の前に※をつけて,どの時点以前のものを分離前として扱ったかを示した上で記録を掲載した.目録中では茶色の文字になっている.
複数種が1種にまとめられたものは,まとめられた後の和名・学名のもとにあわせて記し,まとめられる以前の和名・学名は記していない.
誤同定であることが後に報告されたデータについては掲載しており,文献名の後にそれを示した.
誤同定のデータしかなく,結果的に秋田県に産した記録がない種については,和名の前に"*"を付けた.目録中ではオレンジ色の文字になっている.
報告時に未同定種でも,全形や交尾器が示され後に同定可能な形で報告されたデータや,報告当時未記載であったが記載後に未記載種として記録された報告との対応が示されたデータは掲載した.目録中では青色の文字になっている.
採集地と文献は,"[市町村名] 地名(著者, 発行年) 地名(著者, 発行年)・・・"となっている.
同じ市町村内で同じ文献の引用が続く場合は,"地名1, 地名2, ・・・(著者, 発行年)"となっている.
同じ地名に複数の文献の引用がある場合は,"地名(著者1, 発行年1; 著者2, 発行年2; ・・・)"となっている.
データの文献やコメントの文献をクリックすると,下段の参考文献に当該文献が表示されるようになっている.
採集地名について
市町村は2025年現在のものを使用した.
市町村の下の詳細地名は,報告ごとの表記の揺れがあるので,同一地点と見なせるものは一つの地名に統一して表記した.
採集地名は,県北内陸~県北沿岸~県央.県南沿岸~県南内陸(鹿角地域→北秋地域→能代山本地域→男鹿→南秋地域→秋田市→由利地域→仙北地域→横手平鹿地域→湯沢雄勝地域)の順に記した.
文献が英文で採集地名がアルファベット表記になっている場合も日本語表記の地名にした.
誤記と思われる地名については,"地名(著者, 発行年=○○の誤記)"のように注記を入れた.誤記など注意が必要だった地名は以下の通り.
- 鹿角市冷川植物園(中島, 1989; 中島, 1998):Alsophila inouei ユキムカエフユシャクのparatypeのひとつで,"1♂, 4. XI. 1976 (高橋雅彌)" というデータがある.中島(1998)でもそのまま引用されている.「冷川植物園」という地名や施設は県内に見当たらない.秋田県立博物館に所蔵されている高橋雅彌氏のシロオビフユシャクの標本に,"HIYAKAWA woodland pass 4 Nov. 1976"というラベルがついたものがある.以上をあわせると,英語表記のラベルの"woodland pass"を過って解釈したものと考えられる.本目録中では"冷川林道"としてある.
- 米代川流域:工藤広悦(1980),工藤広悦(1981)では,採集地と各々での採集年月日(複数回の場合もある)と種名リストが示されているが,それぞれの種についての採集地と採集年月日,個体数などが特定できない.このため,この報告のデータについては,地名を一括して"米代川流域"と表記した.実際の採集地・採集年月日は,工藤広悦(1980)では能代市落合大開(6. VIII. 1977 / 6. VIII. 1979 / 7. VIII. 1979 )のいずれか,能代市小友沼(8. VIII. 1979 / 9. VIII. 1979 / 13. VIII. 1979 のいずれか)のいずれか,工藤広悦(1981)では能代市落合沼(4. VIII. 1980 / 6. VIII. 1980 / 9. VIII. 1980 のいずれか),能代市轟沼(8. VIII. 1980),能代市浅内沼(7. VIII. 1980),山本郡八竜町蓮沼(10. VIII. 1980)のいずれかである.
- 河野浦:大和田(1982)で秋田県河野浦と記されているヒメクロアツバのparatypeの産地だが,Owada(1979)では"Maekawa, Kônoura, Akita Pref. 25. VII. 1979 (M. Takahashi)"と記されている.河野浦という地名は秋田県内に見当たらない.秋田県立博物館に1979年7月25日に金浦町前川で採集した高橋雅彌氏の蛾類標本が多数あることから,この日の採集品の中にヒメクロアツバのparatypeとなった標本があった可能性が高いと考えられる."Kônoura"はKonouraの読み間違いで,"河野浦"は"Kônoura"を無理に漢字で表記したものであろう.
- 鹿角市中ノ沢:田中・梅津(1992)と佐々木ほか(1994),佐々木(1992),Sasaki(1991b),Inoue et al.(2008),Inoue(1993),に鹿角市中ノ沢という地名が出てくるが,田中・梅津の中ノ沢と佐々木の中ノ沢は別の場所である.それぞれの報告中では"中ノ沢","中の沢","Nakanosawa"のように記されているが,この目録中では区別のために,田中・梅津の中の沢は"大湯中の沢,佐々木の中ノ沢は"八幡平中ノ沢"と表記した.
- 象潟町下長人森:各報文の中で,下長人森,草木森,‘芭蕉の森’,下長人森‘芭蕉の森’,草木森‘芭蕉の森’のように様々に表記されているが,すべて同じ場所である.この目録中ではすべて「下長人森」とした.
- Honshu, Tohoku Komaga-dake:Yasuda(1975)のニセウスギンスジハマキの原記載に出てくる.東北地方には秋田県以外にも「駒ヶ岳」があるので秋田県の駒ヶ岳か不明."Holotypeは22 VIII 1950 S. Issiki", paratypeは"1959 VIII 22 S. Issiki"でどちらかが誤記の可能性がある.21-25. VIII. 1950に一色周知博士が秋田駒ヶ岳で採集した標本がMoriuti(1977)のナナカマドメムシガの記載で使用されており,1950が正しく,秋田駒ヶ岳である可能性が高いと思われるので,この目録では秋田駒ヶ岳として扱った.
- "Akita Yaata": Yasuda(1975)にあるテングハマキのデータ."from Malus pumila"とあり,リンゴ栽培をしていた場所のようだが,似たような地名も見当たらず,不明である.
- 上ノ岱:佐々木・高橋(1973)にある地名だが,上ノ台の間違いである(佐々木明夫氏私信)
- 真木ノ沢:佐々木・高橋(1973)にある地名だが,真木渓谷の間違いである(佐々木明夫氏私信)
- 中ノ岱:佐々木, 1988dにある地名だが,同日のデータがある中ノ平の誤記と思われる
- 大館中台:大館市に中台という地名が複数あるが,釈迦内中台である(佐々木明夫氏私信)
- 高森林道:鷹森林道の間違いと思われる
- Yabasa:Owada(1987)の中にあるウラジロアツバの産地 3 Sep. 1973 M. Takahashiによる採集 佐々木・高橋(1974)に同じ日付の高橋による八橋の採集データがあるので,Yabaseの誤記であろう
- 内館温ノ沢温泉:佐々木(1988a)のクロホウジャクの産地だが,秋田県の蛾[Ⅱ]に佐々木氏採集の内館と湯ノ沢温泉のクロホウジャクのデータがあるので,","が抜けたのであろう
- 倉石キャンプ場:中島・小林(2017)の中にある田沢湖畔の地名だが,この名称のキャンプ場はなく,石倉沢キャンプ場の誤記と考えられる
掲載しなかったデータ
過去の報告の単純な引用で採集データの詳細がないものは原則として掲載していない.
種までの同定ができていないデータ(前述の未同定種を除く)は掲載していない.
以下の記録は同定間違いのおそれがあり再確認が必要と思われるので掲載していない(学名などは元の文献での表記のまま).
- カシワスカシバ Scasiba rhynchioidesa (Butler, 1881)
横手市大鳥公園地内 Sep. 1985 1♀ 高橋輝幸 (高橋輝, 2000)
東北地方からは記録がない種で,他種の誤同定のおそれがある.
- ホソエダツトガ Crambus hayachinensis Okano ホソエダツトガ
大深沢 1970 (渡辺, 1972)
東北地方では早池峰山,鳥海山から記録があるが,いずれも標高の高い場所であり,近隣の八幡平~岩手山から記録がなく,標高550m程度の大深沢に産するかは疑問であることは,佐々木(1984)が指摘しているとおりである.
- ヒシモンツトガ Catoptria permiaca Petersen
澄川 1970 (渡辺, 1972)
関東・中部の山岳,四国に産する種で,分布から見て秋田県に産するかは疑問であり,他種の誤同定のおそれがある.
- ツマキオオメイガ Scirpophaga xanthogastrella Walker
天王町出戸湿原 14 Aug. 1979 2♀ 高橋雅彌 (高橋, 1980)
この当時の図鑑では,同定や学名・和名に混乱があり,現在のどの種に対応するか明らかでない.ツマキオオメイガは沖縄島以南に分布する種で,本州の記録は偶産かもしれないとされている(佐々木, 2013).
- アカホシヒメアオシャク Comostola rubripunctata Warren
澄川,蒸の湯 1970 (渡辺, 1972)
関東以西に分布する種であり,他種の誤同定と思われる.
- クロスジオオシロヒメシャク Problepsis diazoma Prout
大深沢 1970 (渡辺, 1972)
関東以西に分布する種であり,他種の誤同定と思われる.
- チャマダラコバネナミシャク Trichopteryx nagaii Inoue
鹿角市湯瀬 16 Apr. 1977 2♂ 高橋雅弥 (高橋, 1981)
関東以西に分布する種であり,他種の誤同定のおそれがある.
- ヒメカバナミシャク Eupithecia niphonaria Leech
澄川 1970 (渡辺, 1972)
現在の和名と学名の対応は,E. niphonariaはマエナミカバナミシャク,ヒメカバナミシャクはE. aritaiであるが,Inoue(1979, 1980)のEupitheciaの総説の前であり,どの種を指すかは不明.どちらにしてもこの地域に産するかは疑問
- ウスグロヨトウ Athetis funesta (Staudinger)
五城目町上樋口 11-12 Aug. 1986 1♂ 髙橋雅彌 高橋, (1986b)
関東以南に分布する種であり,他種の誤同定や誤記に由来するものであるおそれがある.
以下の種は現在知られるどの種を指すのかわからなかったので掲載していない.
- Clepsis tricensa Megr. (渡辺, 1972)
- カバフオオフサキバガ (国土交通省東北地方整備局湯沢河川国道事務所, 2003)
- Ancylis mitterbacheriana Denis et Schiffermüller カバイロカギバヒメハマキ (渡辺, 1972)
- Enarmonia sp. コナミスジハマキ(仮称) (奥・五十嵐, 1973)
- Rhopobota sp. オオクロネハイイロハマキ(仮称) (奥・五十嵐, 1973
- Laspeyresia gladicolana Danilevsky (工藤広, 1980)
- Acleris enitescens Meyrick ヤナギハマキ (渡辺, 1972) この学名はセウスイロハマキ.ヤナギハマキはツツジハマキの旧名.何を指すのか不明
- Pagyda amphisalis Walker ホソヨスジノメイガ (渡辺, 1972) マタスジノメイガを指すものかもしれない
ライセンス
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